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(リレー小説)僕と悪魔

※経緯を説明するため、ブログ原文そのまま。



 先日、友達三人(途中から二人)でリレー小説なるものを作っていました。結末は補完しつつですが、その作品をお送りします……

   ***

 僕は窓の外に飛ぶ蛍を見ていた。
「お前(蛍)、うまそうだな」
 蛍は、何も知らずに近寄ってくる。僕は慎重になって、蛍が自分の間合に入るのを待った。しかし、間合に入ってきた途端に、蛍は爆発した。
(……これは、どういう予兆だ?)
 間一髪で僕はその爆発を避け、今起こった不思議な出来事について思惑を巡らした。
「考えてもしかたが無い。寝よう……」
僕は何事も無かったように布団にもぐりこんだ。しかしつい考え込んでしまって、おかしな点に気付く。
「……家が無い!!!」
……という夢をみたんだ。
 僕がいたのは、誰もいない、夜の教室だったのだ。何故、僕はこんなところで眠り込んでいたのだろう……?
(そういえば最近は寝ていなかったな……)
 父と母がけんかして、離婚してやると母が言って……。二人の衝突に耐えきれなくなり夜の学校に逃げ込んだのであった。
 その時、電話が鳴り、父と母が仲直りの旅行に行く、という連絡があった。何て軽い人生なんだ、と僕は両親を心の中で軽蔑した。
 コツ、コツ、コツ……。という足音と共に、
「ボンジュール」
 と人体模型が入って来た。
「ボ……ボンジュール?」
 とりあえず挨拶を返してみる。なぜフランス語なんだ、というツッコミは心の中にしまい、“夜の教室に人体模型”というホラーな状況にも臆することなく人体模型くんの返答 を待った。
「ぐーてんもるげん」
と言いながらなぐられた直後、俺は意識を失い、ベッドの上で目が覚めた。なぜドイツ語なんだ、というツッコミをすることも出来ず、蛍が爆発することもなく、両親も夫婦円満 で仲違いなどしていない、我が家のベッドだ。
「そんなことで、現実を物騙りにする気かい?」
 だがしかし、枕元に奇妙なマスコットがいた。見た目は沖縄のシー○ーのようだが、全身から妙な不快感がするため、俺はとりあえず窓の外から投げ捨てた。
「君の物語はいつも逃避行動の成れの果てに過ぎない」
 窓から投げ捨てた筈のそのマスコットは、再び枕元に戻ってきていた。何度投げ捨てても、元の場所へ帰ってくる。しかたがないから布団でぐるぐる巻きにした上で部屋にある 重いものを全てのせた。
(編注・ここから二人での執筆)
 だが数秒後、
「無駄だよ」
 そのマスコットは僕の背後に移動していた。
「……君は一体、何が目的なんだい?」
これ以上の抵抗は無意味だと感じた僕は単刀直入にそのマスコットに尋ねた。
「ボクはね、ただ君の人生がそんな『つまらないモノ』にしたくないだけさ」
 何を言っているんだ、と思ったが、それが僕の心に深く眠る何かを呼び覚まさせたのも事実だった。でもこの日常が、そんなにつまらないのだろうか。美味しい朝食、学校に行 けば待っている友達、ひっきりなしに笑いを与えてくれるTV……。でも考えてみれば、いつもと変わらない味付けで、裏では悪口を言い合い、テレビでは内輪ネタばかり。
「どうだい? 君の人生を振り返ってみて。君の人生は味気ないものだっただろう」
 僕は何も言い返せなかった。
「99%の人間はそれを感じず日々を過ごす、しかしそれに気付くと途端につまらなくなる。ボクはそんな人達を救っているのさ。キミも──」
 マスコットは、言う。
「さあ、手を取って──」
 言われるがままにマスコットの手に触れた瞬間、僕の周りに黄色い光が降り注いだ。
「それが、非日常さ」
 いつの間にか昼、しかし風景はそのままのようで、しかし常軌を逸脱している。気づくとマスコットもいなくなっていた。
 地面のあちらこちらに、血溜まりがある。
「何なんだ、これは……」
 僕はその血溜まりを踏まないようにして歩を進めると、壁に飛び散った、血まみれの肉塊を見つけた──母だった。そしてすぐに、赤く染まった父の姿が目に映し出される。
「うわああああ……!!」
『これが、非日常さ』
「違う! 僕はこんなことを望んでいない!」
 僕はたまらず、叫んでいた。
『これが、非日常さ』
 その声は繰り返し繰り返し、僕の希望を打ち砕くように頭の中へ響いてくる。僕の声をかき消すかのように、その声は頭の中で何度も反響していた。
『キミは、戦わないのかい?』
 その声がふと、変わる。
『戦わなければ、喰われるだけだよ』
 !?
 僕の前には二体の悪魔が立っていた。
『戦って非日常を続けるのも自由、喰われて人生を終わらせるのも自由。ボクにとってはどちらでも構わない』
 向かって左側にいる悪魔が跳びかかってくる。勝てるわけがない、と思いながらも、咄嗟に僕は左手を突き出していた。手の平から出てきたのは、弱々しい姿をした蛍。
「グヘ……ギェギェ……ゲハッ!!」
 蛍は悪魔の眼前で爆発した。ただ、避けられると直感、
(僕は、日常に生きたいんだ!)
 爆発の余波を避け、右手を拳にして悪魔に叩き込む。
「グギャハッ!!!」
 拳は悪魔の眉間に突き刺さった。その拳はとうてい自分のものだとは思えなかった。
 悪魔は急速に分解されていく。それがだんだんと、自分の中に取り込まれていく感じがする。悪魔の記憶が自分の頭の中に入ってくる。父の心臓を抉り取り、母の臓物を喰らい 尽くした、それをしたのは……
A.僕だ。
B.悪魔だ。
C.悪魔の心を持った僕自身だ。
 ──実際にそれをしたのは悪魔、しかしそれは僕自身。日常世界の自分なら不可能だった結果。それが自分の望む、非日常そのものだったのだ。
 僕は悟った。
 ……もう一匹、悪魔のいることを忘れていた。そちらに目をやる。
「ひいぃ、助けてくれえ」
 僕はかまわず、分解した。そうすれば日常を取り戻せる気がしたから。
  第一部〜完〜

 僕は立っていた。二匹の悪魔の姿はもういなかった。
『どうだい? 日常を取り戻せそうかい?』
「それは、君が知っているのに」
 僕はこの世界の仕組みを理解していた。
  第二部〜完〜

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(編注・これで終わるのはキツすぎるので、第二部冒頭から香良洲執筆で結末までお送りします)

 僕は立っていた。二体の悪魔の姿はもういなかった。
『どうだい? 日常を取り戻せそうかい?』
「それは、君こそが知っているのに?」
 僕はこの世界の仕組みを理解しつつあった。一体目は、蛍が爆発する夢とリンク。そして二体目を分解したとき、僕は何かを呟いている。それはおそらく「ぐーてんもるげ ん」。つまり悪魔視点での夢(らしきもの)だったのだ。
 そして見た夢が二つで悪魔が二体。これがただの偶然とは思えない。逆に言うと、これ以上出てくるはずがなかった。
『お見事、正解だ』
 声は言う。
「なら、この後はどうなるんだ? 日常に戻れるのか?」
『いや、それは無理だ。といってこの世界に留まることも出来ない』
「……騙したのか?」
『ボクには、騙すという概念がないよ。ただこれからの世界は日常ともいえるし、非日常ともいえる』
「はい?」
 僕は訳が解らなかった。この声──マスコットだった声は何を言っているのだろうか。
『そろそろ──時間のようだね』
 そしてこの世界に来た時のように、黄色い光が僕の視界を覆った。
 気付いた時、僕は知らない街に来ていた。決して血溜まりなどがある場所ではない。日常が着実に歩む、平凡な街。
 ただ、身体はその感覚を覚えているらしい。「らしい」と言うのは、自分の身体ではなく知らない女の子の身体だったから。
 僕はそのからくりを悟る。日常に飽きた人間の魂と非日常に絶望した人間の魂が入れ替わる、要はそれだけ。だから既に使用されている「元の身体」、つまり今までの日常には 戻れない。行けるのは「別人の日常」つまりある意味では「非日常」。
(でもあの非日常には戻りたくないから──)
 この日常で、生きていきたいと思う。
 身体の感覚だけをたよりに、一度も行ったことのない一軒家へ。玄関の扉を開けて一言、
「ただいま」
と言う。
「おかえり、×××ちゃん」
 彼女の母親は、中身が別物だとは知らない。



(C)Echigawa karasu ,etc..2011

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